東京地方裁判所 昭和60年(ワ)6777号 判決
一 原告が本件特許権並びに本件実用新案権(一)及び(二)を有していること、並びに被告が、業として、被告製品(一)を昭和五一年七月から同五二年四月まで、被告製品(二)を同年五月から同五九年九月まで製造販売し、又は販売のために展示したことは、当事者間に争いがない。
二 被告製品(一)及び(二)が本件発明の技術的範囲に属するか否かについて判断する。
1 成立に争いのない甲第一号証の一(本件特許公報)によると、本件発明の構成要件は、構成要件dを除いて請求の原因2(一)のとおりであること(この点は、当事者間に争いがない。)及び構成要件dは「石取出口8は常時開口させ無人操作を可能にしてなる」という構成であることが認められる。
2 他方、被告製品(一)及び(二)は別紙目録(一)及び(二)記載のとおりの石抜機であること並びに被告製品(一)及び(二)の構造は、本件発明の構成要件に対応させて表現すると、請求の原因4(一)のとおりであることは、当事者間に争いがない。
3 被告製品(一)及び(二)が本件発明の構成要件b及びcを充足するか否かについて検討する。
前掲甲第一号証の一(本件特許公報)によると、本件特許明細書の発明の詳細な説明の項には、「前記石取出口8の部分の選別多孔板1の目14は、石取出口側2より穀物取出側3に向つて風を斜上噴風する形状に開口される。」(本件特許公報二頁三欄二三行から二六行まで)、「このようにP点より穀物を次々に供給すると……、石取出側2に存在する穀物は更に上昇して石取出側2に設けた側壁10に達するものである。しかしながら、側壁10近辺の選別多孔板1の目12、13は、共に、石取出口8の方向に向いて開口しているので、ここに至つた穀物15は、次々に石取出口8方向に風送されるが、穀物15が、石取出口8まで至ると、逆向きに吹送している風によつて逆に戻されるものである(第5図、第8図参照)。すなわち、石取出口8の選別多孔板1の目14は、石取出側2より穀物取出側3の方向を向いて開口している。(目11と目14は正反対に開口している)。したがつて、第8図に図示したように、目14を吹送する風の影響を受けて穀物15は押戻され、結局、穀物15は、第5図矢印のように巡回するのである。」(同二頁第四欄一九行から三六行まで)、「このような作業を継続していくと、場合により穀物15も、目14群上奥深く進入することがある。しかしながら、奥深く進入したとしても、殆んどの場合、風で吹戻されるから、石取出樋9内に穀物が飛び出ることはない。」(同三頁五欄一四行から一九行まで)及び「石取出口8部分の選別多孔板1の目14は逆向きに開口させたので比重の軽い穀物のみを戻し、比重の重い石は石取出口8より連続して取出せる。」(同三頁六欄四行から七行まで)と記載されていることが認められる。右認定の本件特許明細書の記載によれば、本件発明は、石取出口8から穀物に混入した石を取り出す際に、石と一緒に穀物15までが排出されるのを防ぐため、石取出口8に、穀物取出側3方向に噴風するよう同方向に向けて目14を形成するという手段を採用したものであることが明らかである。そして、右甲第一号証の一によると、本件特許明細書には、右手段以外に、石と一緒に穀物15が排出されるのを防ぐ手段は全く示唆されていないことが認められる。以上の事実に、後に説示する本件考案(二)のような考案が本件発明とは別に実用新案登録されている事実を併せ考慮すると、本件発明は、本件考案(二)のように、指向性を有しない通風口14と傾斜角度調節可能の急勾配多孔板5との組合せという手段を採用し、これにより、石と一緒に穀物が排出されるのを防ぐこととした技術的思想とは異なり、石取出口8の傾斜角度の調節を可能とするような手段などを必要とせず、石取出口8に、穀物取出側3方向に向けて目14を形成し、これによる同方向への噴風のみによつて、石と一緒に穀物15が排出されるのを防ぐという技術的思想に立脚するものというべきであつて、本件発明の構成要件b及びcは、まさに右の技術的思想に基づく構成にほかならないものと認められる。
他方、被告製品(一)及び(二)は、別紙目録(一)及び(二)記載のとおりの構造及び作用を有するものであることは、当事者間に争いがなく、更に、原本の存在及び成立に争いのない甲第三号証、弁論の全趣旨により真正に成立したものと認められる乙第一号証、第九号証、被写体が被告主張のとおりのものであることについて争いがなく、その余の部分について弁論の全趣旨により真正に成立したものと認められる第五号証の一ないし三三、第六号証の一ないし三五、第七号証の一ないし三四及び第八号証の一ないし三四によると、被告製品(一)及び(二)の取扱説明書(甲第三号証)には、スクリーン(選別多孔板3)と別体に設けられた石排出口(調節多孔板26)を、スクリーンより適宜な角度急傾斜させることにより、石抜き操作を行うのが適当であり、スクリーンと石排出口との角度を同一に近くすると、石と一緒に穀物自身も排出されてしまう旨記載されていること、被告製品(一)及び(二)を使用して実際に穀物から石抜きをする実験をしたところ、選別多孔板3と調節多孔板26との傾斜角度を同一にした場合(双方とも約一五度の角度にした場合)には、なお石と共に穀物が排出されてしまうのに対し、調節多孔板26の角度を選別多孔板3の角度よりも急勾配させた場合には、石と共に穀物が排出されることがほとんどなかつたことが認められ、他に右認定を覆すに足りる証拠はない。右当事者間に争いのない事実及び認定の事実によると、被告製品(一)及び(二)は、調節多孔板26に穀物取出側方向に傾斜した目27が設けられたことのみでは十分な石抜きをすることができず、これと共に、調節多孔板26を選別多孔板3よりも急勾配させることにより初めて完全な石抜きをすることができるものであることが認められ、したがつて、石取出口8に、穀物取出側3方向に向けて目14を形成し、これによる同方向への噴風のみによつて、石と一緒に穀物15が排出されるのを防ぐという本件発明とはその技術的思想を異にするものと認められる。
してみると、被告製品(一)及び(二)は、本件発明の構成要件b及びcを充足しないものといわざるをえない。
4 以上によれば、被告製品(一)及び(二)は、本件発明の技術的範囲に属しないものというべきである。
三 被告製品(一)及び(二)が本件考案(一)の技術的範囲に属するか否かについて判断する。
1 成立に争いのない甲第二号証の一及び二(本件公報(一)及び本件補正公報)によると、本件考案(一)の構成要件は、請求の原因2(二)のとおりであると認められる(この点は、当事者間に争いがない。)。
2 他方、被告製品(一)及び(二)は別紙目録(一)及び(二)記載のとおりの石抜機であること並びに被告製品(一)及び(二)の構造は、本件考案(一)の構成要件に対応させて表現すると、請求の原因5(一)のとおりであることは、当事者間に争いがない。
3 被告製品(一)及び(二)が本件考案(一)の構成要件lを充足するか否かについて検討する。
構成要件lの「前記窓口11を大きく開口させてなる」との構成についてみるに、前掲甲第二号証の一及び二(本件公報(一)及び本件補正公報)によると、本件明細書(一)には、「本件考案は、箱状ケースの一側に形成されている穀物取出口を少し大きくして、その口より石屑案内パイプとは無関係に選別板を取外せるようにし」(本件公報(一)一頁二欄一七行から一九行まで及び本件補正公報の記2)、「該窓口11部分より選別板5自体全部を取出したり、また挿入して取付けるためにも用いるものであるから必要に応じて大きく開口させる。」(本件公報(一)二頁三欄七行から九行まで)及び「前記選別板5はその穀物取出口22側を前記ケース1の側壁23に開口させた穀物取出用窓口11より僅かに突き出る状態に装架すると共に、穀物取出用窓口11より、選別板5を石屑案内パイプ24とは無関係に抜き出せる状態に取付けたので、穀物取出用の窓口11部を利用して前記選別板5を至極容易に取出すことが出来」(本件公報(一)二頁四欄一〇行から一六行まで並びに本件補正公報の記6及び7)などと、選別板5を穀物取出用窓口11自体から着脱する旨の記載のみが存し、右窓口11に蓋を設けるとか、右窓口11以外の部分から選別板5を着脱することについては何らの示唆もないことが認められるうえ、成立に争いのない甲第一三号証の一、二、第一四号証及び第一五号証によると、原告が本件考案(一)の実用新案登録出願をする以前の昭和三六年五月頃から、別紙トーヨーの石抜選穀機説明書記載の石抜選穀機が製造販売されていたところ、右石抜選穀機は、本件考案(一)に存在する石屑案内パイプ24を具備せず、したがつて、「選別板5は……石屑案内パイプ24とは無関係に着脱できるように設け」との本件考案(一)の構成要件jを具えていない点及び穀物取出用窓口11に相当する部分に蓋を設け、右蓋を開閉して選別板を着脱する構造とした点の二点が異なつているものの、本件考案(一)のその余の構成要件をすべて具備していたことが認められるのであつて、これらの事実を併せ考えると、本件考案(一)の構成要件lの「前記窓口11を大きく開口させてなる」とは、選別板5を、蓋を開閉するなどの余分な操作を必要とせずそのまま着脱することができるようにするため、穀物取出用窓口11自体を大きく開口させる構成をいうものと認められる。
他方、被告製品(一)及び(二)が、「選別多孔板3は、開閉蓋38を開き、点検蓋39を引き上げてマグネツト53に係止し、穀物取出用窓口36の上方の開口37より挿入してマグネツト42に係止して取り付け、また、横杆56を握りしめて下部のマグネツト42の磁力に抗して穀物取出側6を持ち上げて外側に引き出せるよう前記穀物取出用窓口36の上方に開口37を形成し、その開口37に開閉蓋38を設け、更に、その内側の粒選別箱43の後方に点検蓋39を取り付けた」という構造を有するものであること(構造L)は、当事者間に争いがない。右争いのない事実によると、被告製品(一)及び(二)は、選別多孔板3を着脱する場合には、穀物取出用窓口36自体を利用するだけではなく、開口37を利用して行うとともに、開口37に設けられた開閉蓋38を開閉することを必要とする構造であることが認められる。そうすると、本件考案の構成要件lについての前説示に照らし、被告製品(一)及び(二)は、同構成要件を充足しないものといわざるをえない。
4 以上によれば、被告製品(一)及び(二)は、本件考案(一)の技術的範囲に属しないものというべきである。
四 被告製品(一)及び(二)が本件考案(二)の技術的範囲に属するか否かについて判断する。
1 成立に争いのない甲第八号証(本件公報(二))によると、本件考案(二)の構成要件は、請求の原因2(三)のとおりであると認められる。
2 他方、被告製品(一)及び(二)が別紙目録(一)及び(二)記載のとおりの石抜機であることは、当事者間に争いがない。
3 被告製品(一)及び(二)が本件考案(二)の構成要件oを充足するか否かについて検討する。
右1の争いのない事実によると、本件考案(二)の構成要件oは、「揺動式選別多孔板1の前記石取出側2には指向性は有しない単なる通風口14を形成した傾斜角度調整可能の急勾配多孔板5を取り付ける」というものであることが明らかであるところ、ここにいう「指向性は有しない単なる通風口14」とは、通風口14を通過する噴風に、通風口14自体の力で穀物取出側3方向への方向性を与えるものを含まないというべきである。すなわち、前掲甲第八号証(本件公報(二))によると、本件明細書(二)の考案の詳細な説明の項には、本件考案(二)の通風口14について、「前記通風口14は、第2図に示したごとく、単なる透孔であつて、指向性は有しないが、前記多孔板5自体が傾斜しているため、通風口14を吹抜ける風は、多孔板5上のものを戻す方向に噴出するものである。」(本件公報(二)一頁二欄一八行から二二行まで)及び「風車9の風胴6は、急勾配多孔板5にも風を送るように形成してあるから、通風口14より風を吹出し、この風は、前記多孔板5が傾斜しているから、必然的に、穀物取出側3方向に噴出し」(本件公報(二)二頁三欄三行から七行まで)との記載が存し、通風口14自体には噴風に何らの方向性を与えるものでないことが明記されており、かつ、選別多孔板1に形成された通風口13については、通風口14とは反対に、「該通風口13は指向性を有するもので、風を石取出側2方向に向つて噴吹する形状に開口させる。」(本件公報(二)一頁二欄一〇行から一二行まで)との記載が存すること、また、願書添付の図面の第2図には、通風口14として、急勾配多孔板5に開けられた単なる透孔が図示され、更に、右急勾配多孔板5に下方から垂直に入つてきた風がそのまま垂直方向に吹き抜けている状態が図示されていることが認められる。右認定の事実によると、本件考案(二)の構成要件oにいう「指向性は有しない単なる通風口14」は、通風口14自体の力によつて、これを通過する噴風に穀物取出側3方向への方向性を与えるものを含まないというべきである。
ところで、原告は、被告製品(一)及び(二)の「調節多孔板26に設けられた噴風する目27」が、本件考案(二)の構成要件oにいう「指向性は有しない単なる通風口14」に該当する旨主張するので、審案するに、当事者間に争いのない別紙目録(一)及び(二)記載の被告製品(一)及び(二)の構造と作用、殊に、その各第10図に図示された構造によると、被告製品(一)及び(二)の噴風する目27は、ここを通過する風が穀物取出側6方向に噴風するように形成されていることが明らかであつて、本件考案(二)の構成要件oにいう「指向性は有しない単なる通風口14」に当たるとは認められず、また、本件全証拠によるも、他に被告製品(一)及び(二)に 「指向性は有しない単なる通風口14」に相当するものが存するとは認められない。してみると、被告製品(一)及び(二)は、本件考案(二)の構成要件oを充足しないものというほかはない。
4 以上によれば、被告製品(一)及び(二)は、本件考案(二)の技術的範囲に属しないものというべきである。
五 以上のとおりであるから、原告の本訴請求は、その余の点について判断するまでもなく、すべて理由がないものといわざるをえない。よつて、これを棄却することとする。
〔編注〕本件における請求原因は左のとおりである。
1 原告は、次の特許権及び実用新案権を有している。
(一) 特許番号 第九八七八三四号
発明の名称 選穀石抜装置
出願日 昭和五〇年一〇月七日
公告日 昭和五四年七月二三日
登録日 昭和五五年二月二六日
(以下「本件特許権」といい、その特許発明を「本件発明」という。)
(二) 登録番号 第一五五八五二一号
考案の名称 揺動式風力利用穀物選別装置における選別板の着脱装置
出願日 昭和五一年一月二七日
公告日 昭和五七年六月三〇日
登録日 昭和五九年七月二五日
(以下「本件実用新案権(一)」といい、その考案を「本件考案(一)」という。)
(三) 登録番号 第一三〇四四三五号
考案の名称 石抜装置
出願日 昭和五〇年九月三〇日
公告日 昭和五三年九月二六日
登録日 昭和五四年九月二七日
(以下「本件実用新案権(二)」といい、その考案を「本件考案(二)」という。)
2(一) 本件発明の特許出願の願書に添付した明細書(以下「本件特許明細書」という。)の特許請求の範囲の記載は、本判決添付の特許公報(以下「本件特許公報」という。)の該当項記載のとおりであつて、その構成要件は、次のとおりである。
a 石取出側2を高く、穀物取出側3を低く傾斜させて設けた選穀石抜装置、
b 該装置の選別多孔板1の石取出側2に巾のせまい石取出口8を形成する、
c 石取出口8の部分に形成する噴風用の目14は、石屑より軽量な穀物を戻す方向に噴風するごとく形成する、
d 石取出口8は常時開口させてなる。
(右の番号は、本件特許公報記載のものを指す。本件発明につき以下同じ。)
(二) 本件考案(一)の実用新案登録出願の願書に添付した明細書(実用新案法一三条において準用する特許法六四条の規定による補正後のもの。以下「本件明細書(一)」という。)の実用新案登録請求の範囲の記載は、本判決添付の「実用新案法第13条で準用する特許法第64条の規定による補正の掲載」の実用新案公報(以下「本件補正公報」という。)の該当項記載のとおりであつて、その構成要件は、次のとおりである。
h 箱状に形成されたケース1内部に、石屑案内パイプ24に石屑を流出させる石取出口21側を高くその反対側の穀物取出口22側を低く傾斜させた選別板5を揺動自在に設け、該選別板5は無数の透孔20を有する多孔板により形成し、
i 前記ケース1内で前記選別板5の下方位置には風車7を軸架し、該風車7の風は前記選別板5の透孔20を吹抜けて選別作用を行うようにした揺動式風力利用穀物選別装置において、
j 前記選別板5は揺動枠4に対して前記石屑案内パイプ24とは無関係に着脱できるように設け、
k 前記箱状形成ケース1の一側壁23に穀物取出用窓口11を開口形成し、前記選別板5の前記穀物取出口22側端部は該窓口11より僅かに外方に突き出て揺動する状態に取り付け、
l 前記選別板5は、前記穀物取出用窓口11より挿入して前記ケース1内に取り付け、また、前記穀物取出用窓口11より抜き出して取り外せるよう前記窓口11を大きく開口させてなる選別板の着脱装置。
(右の番号は、本件補正公報及び本判決添付の昭五七―二九九〇六号実用新案公報(以下「本件公報(一)」という。)記載のものを指す。本件考案(一)につき以下同じ。)
(三) 本件考案(二)の実用新案登録出願の願書に添付した明細書(以下「本件明細書(二)」という。)の実用新案登録請求の範囲の記載は、本判決添付の昭五三―三九六四八号実用新案公報(以下「本件公報(二)」という。)の該当項記載のとおりであつて、その構成要件は、次のとおりである。
n 相対峙する一方側を石取出側2とし、その他方側を穀物取出側3とし、穀物取出側3より石取出側2に向かつて風を噴出する通風口13を形成した揺動式選別多孔板1において、
o その前記石取出側2には指向性は有しない単なる通風口14を形成した傾斜角度調整可能の急勾配多孔板5を取り付け、
p 該多孔板5の外端部に石流出口を形成するとともに、
q 前記多孔板1の下部に装着された風車9の風胴6は、前記多孔板1及び前記多孔板5の双方に風を与えるごとく構成してなる。
(右の番号は、本件公報(二)記載のものを指す。本件考案(二)につき以下同じ。)
3 被告は、業として、被告製品(一)及び(二)を製造販売し、又は販売のために展示している。
4(一) 被告製品(一)及び(二)の製造は、本件発明の構成要件に対応させて表現すると、次のとおりである。
A 選別多孔板3は、石取出側5が高く、穀物取出側6は低く取付枠4に傾斜させて装着されている、
B 選別多孔板3の石取出側5に巾の狭い調節多孔板26が選別多孔板3とは別体に、かつ、急傾斜に連結されている、
C 調節多孔板26には目27が設けられており、その目27の下面から上面に穀物取出側方向に向けてやや傾斜した孔が形成されている、
D 調節多孔板26の先端は石受流樋34上に常時開口している。
(右の番号は、別紙目録(一)及び(二)記載のものを指す。被告製品(一)及び(二)につき以下同じ。)。
(二) 本件発明と被告製品(一)及び(二)とを対比すると、次のとおりである。
(1) 本件発明の構成要件a、dと被告製品(一)及び(二)の構造A、Dとは、同一である。
(2) 本件発明の構成要件bと被告製品(一)及び(二)の構造Bとを比較すると、被告製品(一)及び(二)の構造Bは、調節多孔板26が選別多孔板3とは別体に、かつ、調節自在になつているけれども、本件発明の構成要件bは、石取出口8の構造について、「選別多孔板1の石取出側2に巾のせまい石取出口8を形成する」とするのみで、その余の限定を付していないから、被告製品(一)及び(二)は、本件発明の構成要件bを充足するものというべきである。
(3) 本件発明の構成要件cと被告製品(一)及び(二)の構造Cとを比較すると、被告製品(一)及び(二)の構造Cの目27は、穀物取出側6に向けて傾斜する形に形成されており、指向性を有するものであつて、被告製品(一)及び(二)の運転時、石屑よりも軽量な穀物は目27からの噴風で穀物取出側6に向けて戻されるのであるから、被告製品(一)及び(二)の構造Cは、本件発明の構成要件cに該当する。
(4) 以上のとおり、被告製品(一)及び(二)は、本件発明の構成要件aないしdのすべてを充足し、したがつて、その作用効果も本件発明の作用効果と同一であるから、本件発明の技術的範囲に属する。
5(一) 被告製品(一)及び(二)の構造は、本件考案(一)の構成要件に対応させて表現すると、次のとおりである。
H 箱状に形成されたケース35内部に、石受流樋34と石誘導筒40と石排出枠41とに石屑を流出させる調節多孔板26を設け、調節多孔板26を石取出側5を高くその反対側の穀物取出側6を低く傾斜させ揺動自在とした選別多孔板3の石取出側5の先端に連結し、
I ケース35内で選別多孔板3の下方位置には風車2を軸架し、風車2による風は選別多孔板3の目19を吹き抜けて選別作用を行うようにした揺動式風力利用選別装置において、
J 選別多孔板3は取付枠4に対して石受流樋34と石誘導筒40と石排出樋41のみならず調節多孔板26とは無関係に着脱することができるように設け、
K ケース35の一側壁に穀物取出用窓口36を開口して形成し、選別多孔板3の穀物取出側6端部が穀物取出用窓口36よりわずかに外方に突き出て揺動する状態に取り付け、
L 選別多孔板3は、開閉蓋38を開き、点検蓋39を引き上げてマグネツト53に係止し、穀物取出用窓口36の上方の開口37より挿入してマグネツト42に係止して取り付け、また、横杆56を握りしめて下部のマグネツト42の磁力に抗して穀物取出側6を持ち上げて外側に引き出せるよう前記穀物取出用窓口36の上方に開口37を形成し、その開口37に開閉蓋38を設け、更に、その内側の粒選別箱43の後方に点検蓋39を取り付けた選別板の着脱装置。
(二) 本件考案(一)と被告製品(一)及び(二)とを対比すると、次のとおりである。
(1) 本件考案(一)の構成要件hと被告製品(一)及び(二)の構造Hとを比較すると、本件考案(一)の構成要件hは、石屑案内パイプ24一個の構成であるのに対し、被告製品(一)及び(二)の構造Hは、これに対応するものが石受流樋34、石誘導筒40及び石排出樋41の三個の構成である点で相違しているが、本件考案(一)の石屑案内パイプ24は、石屑を案内輸送するための管の意であるところ、被告製品(一)及び(二)の石受流樋34等三個の部材も、石屑を案内輸送する目的のみで設けられた
ものであつて、単なる公知技術を付加したものにすぎないから、被告製品(一)及び(二)の構造Hは、本件考案(一)の構成要件hに該当する。
(2) 被告製品(一)及び(二)の構造Iは、本件考案(一)の構成要件iと同一である。
(3) 被告製品(一)及び(二)の構造Jも、右(1)と同様の理由により、本件考案(一)の構成要件jに該当する。
(4) 被告製品(一)及び(二)の構造Kは、本件考案(一)の構成要件kと同一である。
(5) 本件考案(一)の構成要件lと被告製品(一)及び(二)の構造Lとを比較すると、被告製品(一)及び(二)の構造Lの穀物取出用窓口36自体は大きく形成されていない点及び開口37には開閉蓋38が取り付けられている点で異なつているが、穀物取出用窓口36自体は大きくないとしても、これと開口37とが連なつて形成されており、開口37は穀物取出用窓口36の延長部と見られるから、穀物取出用窓口36を大きくしたのと同様であり、また、開口37に開閉蓋38が取り付けられている点も単なる公知技術の付加にすぎず、いずれも作用効果において異なるところはないから、被告製品(一)及び(二)の構造Lは、本件考案(一)の構成要件lに該当する。
(6) 以上のとおり、被告製品(一)及び(二)は、本件考案(一)の構成要件hないしlのすべてを充足し、したがつて、その作用効果も本件考案(一)の作用効果と同一であるから、本件考案(一)の技術的範囲に属する。
6(一) 被告製品(一)及び(二)の構造は、本件考案(二)の構成要件に対応させて表現すると、次のとおりである。
N 相対峙する一方側を石取出側5とし、その他方側を穀物取出側6とし、穀物取出側6より石取出側5に向かつて風を噴出する目19を形成した揺動式選別多孔板3において、
O 石取出側5には、表面を平滑面とした目27が形成されている起伏自在の細長の調節多孔板26を取り付け、
P 調節多孔板26の外端部に石受流樋34を形成するとともに、
Q 選別多孔板3の下部に装着された風車2の風車ケース1は、選別多孔板3及び調節多孔板26の双方に風を与えるごとく構成してなる。
(二) 本件考案(二)と被告製品(一)及び(二)とを対比すると、次のとおりである。
(1) 本件考案(二)の構成要件n、p及びqと被告製品(一)及び(二)の構造N、P及びQとは、同一である。
(2) 本件考案(二)の構成要件oと被告製品(一)及び(二)の構造Oとを比較するに、本件考案(二)の構成要件oの「指向性は有しない単なる通風口14」とは、その表面が平坦であつて、突起が存しない通風口14という意味であるところ、被告製品(一)及び(二)の構造Oにおいても、表面を平滑面とした目27が形成されているから、被告製品(一)及び(二)の構造Oは、本件考案(二)の構成要件oに該当する。
(3) 以上のとおり、被告製品(一)及び(二)は、本件考案(二)の構成要件nないしqのすべてを充足し、したがつて、その作用効果も本件考案(二)の作用効果と同一であるから、本件考案(二)の技術的範囲に属する。(以下省略)